網膜光凝固術は、特定の波長のレーザー光で病的な網膜を凝固させることにより病気の進行を抑える治療法です。
糖尿病網膜症、網膜中心静脈閉塞症、中心性漿液性網脈絡膜症、網膜裂孔などの眼底疾患の治療に使用されています。
手術は外来通院で治療可能であり、点眼麻酔をして、1回15~30分程度の時間で終了します。
ただし、この治療は網膜症進行を阻止することを目的としたものであり、視力が回復するわけではありません。
成人の失明原因の第2位を占めており、糖尿病の3大合併症のひとつです。
糖尿病網膜症になったからといって、すぐに失明するわけではありません。
糖尿病網膜症は、網膜の状態などから進行の段階が3つに分けられます。
単純網膜症から増殖前網膜症の段階ではほとんど自覚症状がないため、初期の段階で患者様自身が眼の異常に気がつくことは困難です。このため、眼科で定期的な検査を受けることが大切です。
症状名 | 網膜写真 | 眼の状態 | 自覚症状 | |
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・異常なし | なし | |||
・網膜の毛細血管がもろくなる ・点状および斑状出血 ・毛細血管瘤 ・硬性白斑(脂肪・蛋白質の沈着) ・軟性白斑(血管が詰まってできる) |
なし | |||
・軟性白斑が多くみられる ・血管が詰まり、酸素欠乏になった部分がみられる ・静脈が異常に腫れて、毛細血管の形が不規則になる |
なし | |||
・新生血管が硝子体にみられる ・硝子体出血・増殖膜の出現 ・網膜剥離 ・失明に至るケースがある |
・視力が極端に低下 ・黒いものがちらつく ・ものがブレて見える |
・網膜の破れ目のことで、網膜剥離をひきおこすため問題となります。
・網膜裂孔の治療は、網膜剥離への進行を予防することです。
初期症状としては、目の前に虫や糸くずなどの“浮遊物”が飛んでいるように見える「飛蚊症」や暗所で視野の一部に光が走る光視症が自覚症状としてあらわれる場合があります。
網膜裂孔の治療はレーザー光線で裂孔の周囲を焼き固め(光凝固法)、剥離を防止します。これは通院治療で行えますが、網膜剥離を起こすと入院・手術が必要となります。